第165章

ヘンリーはその場に凍りついたように立ち尽くしていた。唇はかすかに動いているのに、声はひとつも出ない。イザベラの裏切りに、彼の世界はぐらりと揺らいだ。ソフィアをないがしろにしてきた罪悪感が、山のような重みとなって彼にのしかかっていた。

ナンシーはなおも必死にイザベラをかばい続けた。ヘンリーの表情がみるみる暗くなっていくのに気づき、口調はいっそう切迫したものになる。

「ヘンリー様、スコットさんの叔母が言ったことは、全部ひどいでたらめです」そう言って彼に一歩近づき、強く訴えた。「スコットさんが誰かを傷つけるなんて、絶対にありえません! あの方はいつだって奥様のことを敬意をもって話していました。あ...

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